「博多町家」ふるさと館

かわら版

まちトリビアン。
まちトリビアン。
路地裏に30の命の灯
●博多部の地祭り

博多で祭といえば「山笠」である。しかし、この博多のまちに張り巡らされた小路地に、その数30に及ぼうという小さな夏祭りが存在するのをご存知だろうか。その多くは「子どもが主役」「ろうそくに灯を灯す(千灯明など)」、といった共通項以外には一切の“くくり”がない。御供所まちづくり協議会の冨田勝久会長は「それぞれの小路で、それぞれの町びとが、だれがまとめるでもなく…。それでも270年もの間、連綿と続いて来たんです」。これらの“地祭り”は供養を通して子どもたちに「命」を感じさせるという。古来より酷暑の夏には飢饉が流行り、奪われた命の多くが子どもたちだったからかもしれない。“博多最古の祭”「謝国明遺徳顕彰慰霊祭」もそんな路地裏から生まれたひとつ。神輿も花火もない質素な博多の地祭り。博多のもうひとつの夏の顔に、と見守りたい。

◎謝国明遺徳顕彰慰霊祭
問い合わせ:御供所まちづくり協議会
電話:092-271-0462

<2010.夏号>

まちトリビアン。
「“口伝・博多料理”」
●博多ごりょんさん・女性の会/会長 西川ともゑさん

ごりょんさんとは「博多商家の奥さん」のこと。商いを陰で支えながら、家事育児をこなし、何かと行事ごとの多い町内・地域では炊き出しを明るく仕切る、太陽のような存在であらねばならないスーパー主婦だ。そんなごりょんさんの呼び名を冠した会がある。『博多ごりょんさん・女性の会』だ。創立は平成4年、現在30名の会員は「女性の視点で博多を元気に!」と、四季折々の歳時イベントの実施、博多の文化遺産発掘・継承の為のさまざまな活動など、一年を通して多忙を極める。「古来から日本の玄関であり、大陸と交流のあった博多の人は、文字通りいろんな人の知恵を出し合って工夫する集りです。私たちごりょんさんも同じ。その証拠に“和”とは日本を指し平和を表す漢字ですが、もともとは“和える=いろんなものがごちゃまぜになる”という意味で、日本文化もそうです」と会長の西川ともゑさん。豚汁、がめ煮、博多雑煮、かしわめし…現在、昔の町割りごとに口伝で残る“知恵を出した”「博多料理」伝承の為に地道に活動をしています。

NHKラジオ番組インタビュアーという華麗な履歴をはじめ、数々の地域組織の役職を歴任。中洲『博多石焼 大阪屋』のごりょんさんであり、博多町人文化連盟理事。

<2010.秋号>

まちトリビアン。
おみくじも“国際派”5カ国語の吉凶占い。
●櫛田神社/巫女 佐藤あゆみさん

当たるも八卦、当たらぬも八卦…といいつつ、やっぱり気になる今年の運勢。仕事、金運、結婚の他に、旅行、待ち人、探し物など、特有の言い回しで、一説によると鎌倉時代からおみくじは日本人の風習として定着してきたという。日本全国の社寺で授与されるおみくじの約7割近くが山口県周南市の神社が製造しているらしいが、櫛田神社のおみくじは正真正銘、オリジナルの占いである。しかもさすがアジアの玄関口・博多の総鎮守!5カ国語対応のおみくじが常備されている。「櫛田神社は沢山の人が気軽に集える場所でありたいというのが宮司の願いなんです」と巫女長・佐藤あゆみさんは言う。昨今、韓国を中心にアジアの国々から訪れる参拝客が増えているというのが理由のようだ。舞、祭典奉仕はもちろん、メイン業務が“守札授与”という巫女さんらしい観察眼。「佐藤さん、旅行が凶って出ちゃいました!」「旅立つ前に旅行守を求める人もいますよ」そうか、神社には難から守ってくれるお守りもあるではないか。あれ?“TRAVEL CHARM”…お守りも国際派!

<2011.冬号>

まちトリビアン。
町が子どもを育てる、博多の習わし。
●稚児舞

どんたくの起源とされる「博多松囃子」のひとつ、稚児舞。女の子が舞を披露する「舞姫」を、男の子が笛や太鼓を演奏する「囃子方」から構成され、西流、東流二流の2年交代で博多小学校に通う子どもたちによって行われる。この稽古は博多どんたくが始まる4ヶ月前の1月から始まり本番まで続く、町をあげての博多の“習わし”だ。「地域が一丸となって守り続けている博多の伝統です。山笠が子供を育てるのと同様に、町が子どもたちを育てるんです。学校で教わらないことも、ここでは厳しく教えていますよ」と、指導する名越正志さんはいう。稽古場に響く声は子どもにも容赦はしない厳しさがある。しかしそれはただの叱りではなく、愛と伝統あってこそ。それに応えようと子どもたちもまた、真剣だ。こうやって大人から子どもへ、教え、習い、博多の習わしは代々受け継がれてゆくのだ。

博多松囃子振興会
問い合わせ:092-291-2951

<2011.春号>

まちトリビアン。
「博多の語りべ」ドライバー、始動!
●博多「かたりベ」ロタクシー

ベロタクシーは「環境にやさしい交通」というコンセプトの自転車タクシー。福岡市では2005年11月より登場、観光客はもちろん、地元市民の足としても活躍中だ。さらにこの5月からは、博多区主催「博多語りべ養成講座」を受講した「語りべドライバー」が、博多の歴史と風情を満喫していただこうと運行を開始。博多のまちをのんびりと駆け抜けている。観光スポットでは観光客と一緒に下車し、ガイドとしても添乗。また土産処やちょっと気になるカフェなど、道中の寄り道が気軽にできるのもベロタクシーの醍醐味。時速10㎞の博多の風景をぜひ楽しんで。基本料金は大人1人2,000円(60分/観光)〜。移動としての利用は10分圏内300円〜。

語りべドライバーの豊嶋大治さん

予約・問合せ: 090-8916-0182 
http://velotaxi-fuk.com

<2011.夏号>

まちトリビアン。
日本で唯一の女みこし。
●中洲まつり

博多では祭といえば「博多祗園山笠」“男の祭り”。しかしその山笠のお膝元には、日本屈指の歓楽街「中洲」がひかえており、大の“山男”もふだんは中洲で働く女性たちとも顔なじみ。そんな女性たちが担ぐ「女みこし」は、日本の祭りの中でも唯一、女性だけの名物みこしとして注目を集めている。1年間の中洲の飲食店利用客への謝恩の意味を込めて、中洲の商売繁昌の神「國廣神社」の名を授かり「中洲國廣女みこし」。総勢500名の女性が神輿を担ぎ、中洲界隈を練り歩く。この風景もまた博多、なのだ。

問い合わせ:中洲観光協会・中洲町連合会 電話:092-272-1440

<2011.秋号>

まちトリビアン。
英語で案内ツアー
●Fukuoka Walking Tour

日本で最も古く、古代より大陸との交流を深めてきた博多の魅力を、英語で紹介するまち歩きツアーです。ベテラン英語通訳案内士が、博多を代表する観光スポット、承天寺・聖福寺・櫛田神社、そして川端商店街を案内する。博多の観光シーンも、国際化をより充実させていくこと間違いなし!本ツアーのガイド・篠原茂さんは、海外旅行関係業務35年、通訳ガイドは15年に渡るキャリアの持ち主。「福岡・博多はまちそのものが博物館です。海外からのお客さまにも、ぜひ、このまちの歴史、文化、伝統を味わっていただき、博多ファンになっていただきたい」。外国人客のおもてなしにもピッタリだが、英語に興味のある日本人も大歓迎。爽やかな季節、いつもと違う英語まち歩きツアーを堪能してみては?

毎週月、火、水、木、土、日
○各10:00~12:15
○集合/JR博多駅総合観光案内所(福岡市博多区博多駅中央街)
○料金/2,000円
○定員/12名(最少催行人員1名)
○所要/約2時間15分
○URL:http://walks.japankyushu.com

ガイドの篠原茂さん

予約先:SOZOXソゾックス
電話:092-292-7694
※前日までに予約

<2012.春号>

「博多町家」ふるさと館