
「博多町家」ふるさと館では博多の伝統工芸の製作風景を見学することができ、スケジュールに合わせて、機織り体験(無料)、絵付け体験(有料)が可能です。
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正月上旬、十日恵比須神社で開かれる「十日恵比須」というお祭りは博多商人たちが、「今年も商売繁盛しますように」との願いをかけるものですが、縁起物である「福笹」を多くの人が買い求めます。
博多張子はその福笹(笹に張子の鯛などをつけたもの)の飾り物として親しまれています。
また、博多には、「博多にわか」というお笑いの芸能があります。にわかを演ずる人は、必ず「ボテカヅラ」というかつらと「にわか面」という半面をつけますが、博多張子の職人さんはこれも作ります。
親しみある博多の伝統工芸品です。


独楽をあざやかにあやつる「曲ごま」は、博多が発祥の地であるといわれます。 江戸時代には「博多独楽」として江戸でも多くの見物客を魅了し、大変な人気でした。
曲ごま用の独楽は芯棒に鉄を使用したことで、振れが少なく勢いよくまわすことができるようになり、いろいろな独楽の技がうまれました。
曲ごまとしての博多独楽が知られる一方で、玩具としての博多独楽も昔から親しまれています。これも、木の台に鉄の芯棒が打ち込まれている点が特徴的です。
福博の秋の大祭、筥崎宮の放生会では、毎年みごとな独楽芸が奉納されています。


馬出(福岡市東区)では、曲物がつくられます。筥崎宮の儀式に使われる祭具として発達した木工芸品です。
一説には、応神天皇(八幡さまとして全国に祭られる)の誕生の際、胞衣を 納める木箱を作ったことに始まるといわれます。
曲物は、スギやヒノキの薄い板を、湯につけて曲げ、板の端をサクラの皮でとじあわせます。
板の木目と、板をとじたサクラの皮のバランスが美しく、ほのかに木の香りがします。
博多では、子どもが三歳になると「お膳すわり」のお祝いをします。
このとき使われるのが「ポッポ膳」といわれるもので、白木の角膳で、 松竹梅や鶴亀などおめでたい絵が描かれた曲物です。外側が黒、内側が朱塗りの小さなわんに、小豆ごはん、なますを飾り、尾頭つきで祝いました。


博多人形は、黒田長政(初代福岡藩主)が福岡城を建てたとき、城のかわらを作っていた陶工が、 その粘土を使って人形を作り、長政公に差し上げたのが始まりといわれています。
粘土で原型を作り、石膏で型をとります。この型に粘土を練り込み、型から取り出して800~900度で焼き、顔料で色をつけます。
美人物がよく知られていますが、その他にも時代のニーズに合わせてさまざまなものが作られています。
優美で繊細、情緒豊かな人形です。また、「博多祇園山笠」の飾り山・舁き山の人形も 博多人形師が作ります。
博多人形は、『正調博多節』に「博多へ来るときゃ一人で来たが、帰りゃ人形と二人連れ♪」と歌われるように、 土産品としてよく知られています。


一般的な博多織の製品はほとんどが機械織によるものですが、当館では博多織の職人による手織の実演をご覧いただいています。また、機織りの体験をすることもできます。
博多織は西陣、桐生に並びよく知られていますが、その起源は鎌倉時代にさかのぼります。 博多の商人が宋(今の中国)に渡り、織物の技術を持ち帰ったのが始まりであると言われています。
江戸時代には福岡藩が博多織を幕府に献上したことから献上博多帯、献上柄といわれます。
縦糸の本数が多く、太い横糸を強く打ち込み、縦糸で柄を織り出すのが特徴です。締め心地のよさには定評があります。
機械織りに比べて手織のものはかなり高価ですが、その風合いは使うほどによくなじみ、なんともいえない良さがあるといわれます。
